【PUBLICITY 1966】2015年2月14日(土)
■東京都港区の泉岳寺が大変なことになっている件■
freespeech21@yahoo.co.jp
▼ひょんなきっかけで東郷和彦さんと再会した。「週末に泉岳寺(せんがくじ)で市民講座というものをやります」と小冊子とチラシをいただいたので、ご紹介。あした2月15日(日)の午前10時から。〈赤穂浪士の泉岳寺から、日本の風景・景観を考える〉。東郷さんの演題は〈赤穂四十七士の「心」と日本人の「公」〉。お近くの方や、気になる方はどうぞ。
東京の港区に泉岳寺という寺がある。忠臣蔵(ちゅうしんぐら)の四十七士の墓で知られるが、現在、この泉岳寺の隣に大きなマンションがすでに建設中とのこと。これをなんとか止められないかと奮闘している人たちがいる。小冊子に載っている完成予想図を見たが、こりゃひどいね。抑えめに表現しても「台無し」と言わざるを得ない。
疑問をもった吉田朱音氏が港区役所に問い合せてみると〈文化財や史跡になっているものは、それ単体を守るものはあっても、景観も含めて守れるものはありません。という、信じられないようなことでした〉(『平成忠臣蔵』18頁、公人の友社)。
http://koujinnotomo.com/newfile/chihoujichijarnal66/chihoujichijarnal66.html
これまでの活動記録を順を追ってみていくと、昨年後半から今年にかけて一気に運動が広がっていることがわかる。客観的には「時すでに遅し」の感があるのだが、なんとか食い止められるかもしれないと思わせる勢いだ。
http://sengakuji-mamoru.jimdo.com/activity-log/
映像資料も充実した見やすいホームページです。
▼キーワードは「違法ではない」だ。今のニッポン人は「違法ではない」に弱い。違法ではない、「だから」と続けるのか、違法ではない、「しかし」と続けるのか。「だから」のほうが楽だ。
ここで「公(おおやけ)」という問題が浮かび上がるのだが、こうした問題に気づくきっかけとなったり、共有したりする「場」そのものが乏しい。だから列島のあちこちで同じようなことが起きているわけだ。
東郷さんや、ユネスコ元事務局長の松浦晃一郎氏が出席する泉岳寺での連続市民講座は、そうした乏しい貴重な「場」の一つになるだろう。
この泉岳寺問題は、いくつかの新聞やテレビでも報道されてきたから、本誌読者で知っている人もいるだろう。『平成忠臣蔵』という小冊子についてはつい数日前、東京新聞で報道された(鈴木久美子記者)。適宜▼
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150211/CK2015021102000143.html
〈泉岳寺景観 「義」で守る 反対住民ら冊子「平成忠臣蔵」
2015年2月11日
隣接地でマンション建設が進む泉岳寺(港区)の景観を守ろうと、建設に反対している住民や寺、大学教授らが記したブックレット「平成忠臣蔵 泉岳寺景観の危機」(公人の友社)が今月、出版された。著者の一人は「建築基準法は景観など関係がない。この問題を全国の人に知ってもらいたい」と話している。
▼著者は、「国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会」広報担当の吉田朱音さんと、泉岳寺の受処(うけしょ)主事牟田賢明(けんみょう)さん、法政大名誉教授で日本景観学会会長の五十嵐敬喜さんら。いずれも昨年夏にマンションの建設計画が明らかになって以降、この問題に取り組んできた。
ブックレットでは、問題の経緯のほか、泉岳寺の成り立ちや世界遺産との比較、「忠臣蔵」で海外にも知られる赤穂浪士の「義」のとらえ方など文化的な内容も盛り込まれる。港区や区議会に働きかけを続ける吉田さんは「こうした問題が二度と起こらないよう『解決策』を考えたい」と語った。一冊八百六十四円。
▼一方、「守る会」は、泉岳寺を通して日本の景観を考えようと、第一回「泉岳寺特別市民講座」を十五日午前十時~午後零時半に開く。「赤穂四十七士の『心』と日本人の『公』」のテーマで、元オランダ大使の東郷和彦さんと五十嵐さんが講師を務める。
第二回は二十二日午後三時~五時半、テーマは「オリンピックに向けて東京を文化都市に-世界からみた泉岳寺の景観問題」。講師は、元国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長の松浦晃一郎さんら。
会場は泉岳寺講堂。各回、定員六十人、参加費千円。問い合わせは吉田さん=電080(4079)5569=へ。〉
▼この「守る会」に協力している五十嵐敬喜氏は、小冊子で興味深い事実を指摘している。泉岳寺は世界遺産になる可能性があるというのだ。「いやあ、さすがに無理でしょ」と思った人は、「南アフリカのロベン島」や「アウシュビッツ収容所」が世界遺産になっていることをご存知だろうか。
世界遺産を選ぶ基準はいくつかあるが、その6番目に「顕著で普遍的な重要性を持つ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的作品と関連すること」とある。つまり「物語」があるかどうか。アウシュビッツ収容所はこの6番目の基準のみで世界遺産に選ばれた。
「文学的作品と関連すること」という観点が、泉岳寺と関連する。「忠臣蔵」はニッポン人がだいたい知っている物語だ。そして「仮名手本(かなでほん)忠臣蔵」は、〈おそらく日本文学の中ではじめて外国語に翻訳された作品〉(ドナルド・キーン『日本文学の歴史8』中央公論社)であり、「武士道」の象徴だ(『平成忠臣蔵』72頁)。「武士道」には賛否両論あるけれども、「南部坂雪の別れ」にシビれた身としては、この議論は面白い。
このままマンションが完成すると、東京オリンピックで羽田空港にやってきた海外の観光客が、JR品川駅で東京の地に降り立ち、近くにある泉岳寺にやって来た時、「ああ、この建物は今のニッポン人は大切にしていないんだね」と丸分かりになる。京都をはじめ散々な目に遭っているニッポンの文化財の膨大なリストに、新しい被害物件がまた一つ増えてしまうのは、ぼくは残念だ。
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竹山綴労
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