【編集方針】

 
「本が焼かれたら、灰を集めて内容を読みとらねばならない」(ジョージ・スタイナー「人間をまもる読書」)
 
「重要なのは、価値への反応と、価値を創造する能力と、価値を擁護する情熱とである。冷笑的傍観主義はよくて時間の浪費であり、悪ければ、個人と文明の双方に対して命取りともなりかねない危険な病気である」(ノーマン・カズンズ『ある編集者のオデッセイ』早川書房)
 

2015年9月4日金曜日

欧州難民危機、リゾート地の遺体、ブダペスト駅

 
【メディア草紙 1969】2015年9月4日(金)
■欧州難民危機、リゾート地の遺体、ブダペスト駅■
 
freespeech21@yahoo.co.jp
http://offnote21.blogspot.jp/

▼ブログを編集していると、「統計」というページがあり、国別閲覧者ってのが示されるのだが、9月3日は、

日本78
アメリカ合衆国25
インドネシア8
スウェーデン5

いやいや、インドネシアとスウェーデンにはいないでしょう。サーバを経由して閲覧しているってことなのかナ。不可思議。


▼欧州難民危機について理解を深められる、いい論説、いいコメンテーター、いいサイトがあったらぜひ教えてください。

一例として、BBCの図解。
http://www.bbc.com/news/world-europe-34131911

下記はニューヨーク・タイムズ。中東、アフガンから、バルカン半島、ハンガリーを経由してドイツなどへ向かう難民の旅の記録。ANEMONA HARTOCOLLIS記者。写真と見出しが印象的だ。
Traveling in Europe’s River of Migrants
http://www.nytimes.com/interactive/projects/cp/reporters-notebook/migrants

「ハンガリーで止められても、南隣のクロアチアから北上するよ」と答える難民のコメントも、どこかで読んだ。

▼いまヨーロッパで最も衝撃的なニュースは、前号で紹介した、死んだ男の子の写真だ。〈トルコのドアン通信が撮影、配信した。同国のメディアによると、エーゲ海に面するリゾート地、ボドルム近郊の海岸で2日朝、男の子を含むシリアからの難民とみられる12人の遺体が見つかった〉(朝日デジタル2015年9月3日)

▼Mariko Oi 大井真理子 ‏@MarikoOiBBC  9月2日
大井真理子さんがリツイートしました Humanitarian Relief
This pic breaks my heart #SyrianRefugee crisis シリア難民の子供の溺死体がトルコ沖に流れ着いた写真。シェアすることへの批判もあるけど、こういう現実を伝えるのが報道の意義だと思うから。
https://twitter.com/ihhen/status/639008503378546689



〈欧州難民危機 トルコに男の子の遺体漂着、画像が波紋
国際移住機関(IOM)によると、地中海を渡って欧州を目指す途中で命を落とした人は、今年だけで2600人を超えた。溺死や圧死のほか、船のエンジンの排煙で窒息死したりする犠牲者が後を絶たない。

欧州に到着した移民や難民も今年だけで35万人あまりに上るが、各国の対応には大きな開きがある。男の子の写真を見た国連のグテレス難民高等弁務官は2日、「とてつもない挫折感を感じる」と述べ、「この状況に対する一貫した対応が必要だ。欧州が一丸とならない限り、そうした対応はできない」と指摘した〉
CNN、2015.09.03

▼もう一つ、いま「欧州難民危機の最前線」といわれているハンガリーのブダペスト駅だ。

▼〈首都ブダペストの駅が難民キャンプに、ハンガリー
2015年08月30日 13:14【8月30日 AFP】難民危機が直撃している欧州のハンガリーで、首都ブダペスト(Budapest)の鉄道駅が難民キャンプのような状態になりつつある。戦争や苦難を逃れてきた難民の家族たちが布などを敷いた上に座り込んでおり、乳児も含まれている。

ブダペスト東駅(Budapest Keleti Station)でAFPの取材に応じた通勤客のチャバ・ハバシさんは、駅に座り込んだ中東や中央アジアからの男女・子ども数百人の間をかき分けて移動しながら「現実とは思えない」と語った。

階段の吹き抜けでは洗濯した衣類が乾かすためにつるされ、乳幼児の泣き声はやむことがない。ソーシャルメディアを通じて結成されたボランティアらが、移民たちに水や医療を提供している。

時折、ピエロの格好をしたボランティアが、子どもたちにチョークを与えて地面に絵を描かせるなどして楽しませ、励ましている。地元の女性(60)は「苦しんでいる赤ちゃんを見るのはつらい」と語り、おむつやおもちゃをボランティアの人々に寄付した。

警察当局によると、今年これまでにハンガリーに入国して拘束された移民は14万1500人に達している。その大半はセルビア経由でハンガリー入りを試みている〉

▼〈難民ら数千人、駅に殺到 ブダペスト、大混乱に
2015年09月03日18時21分 (更新 09月03日 18時27分)

【ブダペスト共同】ハンガリーの首都ブダペストの東駅で難民や移民を排除していた警察が3日、封鎖を解き、数千人の難民らが駅ホームなどに殺到した。難民らは、たまたま駅に到着したドイツ国旗の描かれた列車をドイツ行きと間違えて乗り込むなど、大混乱となった。
大半の難民らは生活水準の高いドイツを目指しているが、ハンガリーの鉄道当局者は3日、同国政府が東駅からドイツやオーストリアなど西欧諸国に向かう国際列車の運行を停止したと明らかにした。
一方、ロイター通信によると、ブルガリア内務省は3日、首都ソフィアで、難民申請せずに不法に入国した125人を拘束したと明らかにした〉




▼〈難民:ギリシャに2万3000人…1週間で
毎日新聞 2015年09月02日 12時18分(最終更新 09月02日 12時52分)

【ブリュッセル斎藤義彦】欧州に中東やアフリカからの難民が押し寄せている問題で、欧州連合(EU)は1日、先週だけでギリシャに約2万3000人の難民が到着したと発表した。EUが把握できていない密航者も多く、欧州への難民の波は、なお続くとみられる。一方、ハンガリーに滞留していた難民のうち、先月31日と1日の両日で4200人がドイツに到着し、収容施設などに入った。

欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)が暫定値として発表した。このほか、地中海上でリビアなどアフリカからの難民約5400人が救助され、55人が遺体で発見された。セルビアとハンガリーの国境には9400人が滞留している〉


▼前号で紹介したINYTの欧州難民問題の記事は、全文が下記から読める。

A 21st-Century Migrant’s Essentials: Food, Shelter, Smartphone
By MATTHEW BRUNWASSER
AUG. 25, 2015
http://www.nytimes.com/2015/08/26/world/europe/a-21st-century-migrants-checklist-water-shelter-smartphone.html?_r=0

32歳の音楽教師、シリア難民。“Every time I go to a new country,I buy a SIM card and activate the Internet and download the map to locate myself”8月27日付INYT(インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ)。取材はセルビアで。
“I would never have been able to arrive at my destination without my smartphone,” he added. “I get stressed out when the battery even starts to get low.”

Technology has transformed this 21st-century version of a refugee crisis, not least by making it easier for millions more people to move.

この記事の最後に出てくる39歳男性のコメントと、締めの一文が沁みる。犯罪捜査でスマホは宝の山だそうだが、スマホにはまさに「ライフログ」、その人の「生活の記録」がそのまま刻まれている。

Shadad Alhassan, 39, said he had “lost everything” when his home was bombed in Damascus, where he once worked installing electrical inverters in a skyscraper under construction.

“My wife died in the bombing,” he said. “Now I have nothing left besides my two sons.” He indicated Wassem, 10, and Nazih, 9, sitting with him on a sleeping bag on the dirt in the park.

His smartphone held photographs, his only connection to the life he once lived.


▼上の記事の途中にリンクがある、NYTの難民危機特集の記事。これもデスクトップで見ると写真がデカくて印象的だ。
The Global Refugee Crisis, Region by Region
By PATRICK BOEHLER and SERGIO PEÇANHA
UPDATED August 26, 2015

http://www.nytimes.com/interactive/2015/06/09/world/migrants-global-refugee-crisis-mediterranean-ukraine-syria-rohingya-malaysia-iraq.html

ウェブの中では、雑誌よりも大きくスペースを使えるわけだ。最近、見た目が美しいニュースサイトがどんどん増えている。その美しさと、美しくて見やすい器に盛られるニュースの凄惨さとの落差が、ニュースに接する者の心を不安定にさせる。


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